虫にも虫が付く

Water

 9月もあっという間に過ぎ去ろうとしており、樹々の葉の色が少しずつ赤や黄色みを帯び始め、朝方は既にストーブのお世話になっています。

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メノコツチハンミョウ♀

 秋めいて来ると、陽当たりの良い地面にはピカピカと青光りするこの昆虫が現れます。この日歩いた小道でも、至る所でメノコツチハンミョウが見られたのですが、その中のメスを目で追っていると、何やら小さな昆虫が周りを飛び回っています(青矢印)。

Danika
ダニカの一種?

 顔を近づけて、よ〜くよ〜〜く見てみれば、明らかに体に取り付いており、しかも吸血しているようにも見えます。最初はブユの一種かなと思っていたのですが、調べたところによると、おそらくはダニカと呼ばれるハエの一種で、昆虫類の体液を吸血するそうです。
 それにしても、ツチハンミョウと言えば体液に毒性のあるカンタリジンを含んでいるはずですが、その体液を吸っても平気なのでしょうか?

Tombodanika
ミヤマアカネ♂の翅に付くトンボダニカ?
(弟子屈町 2012年8月18日)

 また、実はトンボにもダニカの一種が付いている事があります。日本トンボ学会の連絡誌で以前紹介されていたので、トンボ屋さんはご存知の方も多いのではないでしょうか。
 このトンボダニカ、トンボの翅脈から吸血するという何とも物好きな昆虫で、止まっているトンボの翅をよ〜く見ると時々付いています。先ほどのツチハンミョウに付いていたダニカも然ることながら、こちらもこちらで高速で羽ばたくトンボの翅によく取り付いているものだなぁと、少々感心してしまいます。
 昆虫の世界は本当に奥深いものですね。

弟子屈町 2018年9月27日

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フライング

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エゾハルゼミ♂

 林縁で観察をしていた最中、不意に足下で羽をバタつかせる昆虫がおり、見れば初夏の代表種ことエゾハルゼミでした。季節の進みが早いにしても、少々フライングが過ぎたのか、あまり元気がありませんでした。という訳で、そばにあったトドマツの幹に止まらせてのやらせ撮影です。

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ミヤマスミレ

 近くにはスミレがひっそりと咲いていました。これこそ、斑入りではない正真正銘のミヤマスミレの様です。

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 後で友人に聞いたところ、「道東では、道端で普通にミヤマスミレが生えている」という事なので、近場にあった幾つかのスミレを見てみると、本当にミヤマスミレでした。ちなみに、上の群落の写真は家の玄関の目の前にある茂みの中。ドア to 現場が実に1秒です。

弟子屈町 2018年5月13日

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花見ず

Someiyoshino

 3月の頭に東京に帰ったばかりですが、今回は仕事で、本部への出張のため再び東京へと戻りました。桜が丁度満開だったので、春の気配に飢えていた人間にとっては、涙が出るほど(スギ花粉で)眩しい眺めです。

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ビロードツリアブ♀

 仕事の合間に、花びらと花粉の舞う春空から地面へと目を転じると、この季節にお馴染みのビロードツリアブの姿がありました。

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ビロードツリアブ♀:産卵
(青丸:ビロードツリアブ、青矢印:ヒメハナバチの巣穴)

 この場所、地面にはヒメハナバチの巣が無数にあって、観察していた最中もヒメハナバチ達が忙しく出入りしていたのですが、その巣穴を覗き込む様にビロードツリアブがホバリングをしています。
 実はこれ、ビロードツリアブの産卵で、ホバリングしながら巣穴の中に卵を投げ込んでいるところ。かわいい姿をしたビロードツリアブですが、ヒメハナバチなどに寄生して、卵や蛹を捕食するという強かな生態を持っているそうです。ホバリングの最中に、時折巣穴に向けて腹部を振っていたので、おそらくその瞬間に卵を穴の中に投下していたのでしょう。

 本当は、桜やスミレの写真などを撮るつもりではいたのですが、予備のバッテリーや充電器を北海道に置いて来てしまい、ビロードツリアブの観察だけでバッテリーを使い果たしてしまいました、、、。

東京都 2018年3月28日

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Utopia

Snow

 12月も半ばとなり、道東も完全に根雪となりました。近所にある牧草地は見渡す限りの雪原に変わり、厚さ40センチの雪の表面には、エゾシカやキタキツネの足跡が点々と続いています。

Frost1

Frost2

Frost3

 日中の気温は氷点下なので、朝方に陽の光を透かして見るとダイヤモンドダストが煌めき、草木には霜がびっしりです。時期が時期だけに、クリスマスイルミネーションぽいですね。

Geothermal

 そんな雪と氷の世界で、昆虫達はとうの昔に命を終えたか、越冬している時期のはずですが、未だに虫の声が聞こえて来る場所があります。それはズバリ、温泉地。道東には温泉地が点々とありますが、地熱が常に保たれている場所が幾つかあります。素手で触ると暖かく感じる程の熱量なので、雪が降ってもあまり積らず、凍る事もありません。
 上の写真では、中央の雪が薄い辺りが地熱の特に強い所です。

Madarasuzu
マダラスズ(幼虫)

 この様な特殊な場所を、ピンポイントで利用している昆虫というのがこちら。コオロギの仲間の一種のマダラズズです。今回確認できたのは幼虫と思われる個体だけでしたが、近くからは「ジー ジー」というオスの鳴き声が複数聞こえていました。
 本種は日本全国の草地などに生息しているのですが、生きた姿が見られるのは基本的に夏から秋にかけて。冬季は本来いるはずもありません。しかし、地熱地帯は冬でも暖かく、食物となるコケ類といった植物も自生しているため、ここでは年中生息できるという訳です。
 記録では、厳冬期の1〜2月でも鳴き声が聞こえるらしいので、虫の姿が恋しくなったら、この小さな楽園に再び訪れる事としましょう。

弟子屈町 2017年12月17日

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我が家の生物多様性

 以前に住んでいた山梨のアパートではアシダカグモが、香川のアパートではカネタタキが部屋の中を歩いていましたが、今度の北海道道東の推定で築40年以上の一戸建て平屋の借家でも、色々な生きものと同居しています。
 大概見かけるのはカマドウマやナミテントウなのですが、部屋の隅に置いているミネラルウォーターのボトルには、キタテハ エルタテハが掴まって現在進行形で越冬しています(どこから入った!?)。それに加えて、夕食の準備のため台所に立とうとした時に、床の上を歩いていたのがこちら!

Ooyadorikanimusi
オオヤドリカニムシ

 なんと、そこにいたのは体長5ミリほどのカニムシ。調べたところ、オオヤドリカニムシのようです。
 カニムシは、ダニやサソリ、クモなどと親戚に当たるカニムシ目に属する生物で、カニの鋏に似た前脚からその名が付いています。小型で土中に生息する種や、本種の様に大型かつ地上で生活する種など様々なタイプがいるようです。ダニの親戚というだけあって姿がマダニに似ていたので、見つけた時は身構えてしまいました。ちなみに、撮影には台所で乾かしていた食品用白色トレーを使ってみたのですが、予想以上にストロボを満遍なく反射して、最近流行の白背景風の写真となりました。

 このオオヤドリカニムシですが、調べる過程で非常に驚いたのがその生態です。カニムシは肉食性で、一部は土中に生息して、同じく土中に生息するトビムシという微小な昆虫を捕食したりするのですが、本種はなんと、ネズミなどの小型哺乳類の体表面に寄生しているそうです。なので、ネズミの住処や古巣、もしくはネズミの古巣を利用する事があるマルハナバチ類の巣中からも確認された例があるとの事。
 この記述を読んだ時、なぜカニムシが家の中にいたのか腑に落ちたことと、そして図星を突かれた衝撃により、PCの画面に向かって「なんだってー!?」と思わず叫んでしまいました。そう! 自然豊かな道東に位置する推定築40年の我が借家には、ストーブを終日焚くようになった11月頃から、近隣の森に棲んでいるヒメネズミが冬越しのために集まって来ているのです!

 ヒメネズミ達は屋根裏や壁に潜んでいるらしく、今のところ食物を齧られる等の被害は無いのですが、ネズミ用粘着トラップを試しにかけたところ、一度に3匹もかかっていました、、、(それでヒメネズミと判明)。
 我が家の生物多様性には何とも驚かされましたが、カニムシの登場により、お蔭でずいぶんと勉強にもなりました。

自宅 2017年12月5日

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