分け入っても

 シコクトゲオトンボの初観察から早2週間が経ちましたが、未だに発見時の興奮が鮮明な記憶として残る中、今回も新たな生息地を探して山に分け入ってきました。

Asahina
アサヒナカワトンボ

 細流の落ち葉を掻き分けてみると、早速ヤゴが転がり出て来ました。シコクトゲオトンボか!と思いきや、アサヒナカワトンボです。それでも四国では初の出会いですし、久々に見るとなんだか懐かしいものがあります。

Sawagani
サワガニ

 合わせてシコクトゲオトンボもと思って引き続き探しましたが、サワガニに威嚇されたくらいで、最初のアサヒナカワトンボ以外は結局成果がありませんでした。
 なんとなくわかった様な気分になっていましたが、自然相手はそう簡単ではないですね。そこが難しくも面白いところではありますが。

Ume

 香川も少しずつ春めいて来ましたが、仕事の関係により2月一杯で香川を去り、故郷の東京へ一旦戻る事になりました。香川ではわずか5ヶ月足らずの生活でしたから、トンボ面では心残りが多いのが正直な気持ちですが、ナニワトンボやオオキトンボ、シコクトゲオトンボを見る事ができただけでも、良かったのかなと思います。
 合わせてお知らせなのですが、この2年間不安定な身であったものの、ようやく落ち着いて仕事をする環境が整いました。4月から新たな地で腰を据えて生活・仕事をすることになるのですが、その場所についてはまた1ヶ月後に。

香川県 2017年2月27日

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パイオニア

 四国のトンボを語る上で忘れてはならない種に、シコクトゲオトンボがいます。世界で唯一、日本のしかも四国だけに生息しているトンボですが、分布だけでなく、生息環境も特殊なトンボです。成虫が現れるのは5月頃からなのですが、幼虫期間は2〜3年と推定されるため、冬場でもヤゴの姿を見る事ができます。

 実は昨年の12月頃から、シコクトゲオトンボのヤゴの姿を拝むべく、資料を漁りつつ何度か探索に乗り出したのですが、運が悪いのか、センスが無いのか、なかなか見つけられず、この時期まで引きずって来てしまいました。それこそ、トンボ屋の大先輩方に聞けば楽なのでしょうが、やはりそれは取って置きの手段。まずは自分の足で現場に行って、雰囲気だけでも感じる事が重要です。

Turara

 この日も、資料と類似した環境を探して県内をさすらい、氷柱の伸びる岩の下、湧き水の滴る落ち葉や苔をひたすら捲っていたのですが、未だ成果無しでした。我武者らに探しながら、脳裏には数日前に尾園さんの湘南むし日記にて、お隣の徳島県内で撮影したシコクトゲオトンボの記事が過ります。

 自分には高嶺の花だったか・・・と思いつつ、岩に張り付いた何枚目かもわからない落ち葉を捲ってみると、そこに天然の小さな窪が現れました。そしてその瞬間、窪の中に潜んでいた小さな生きものに、目が釘付けになりました・・・!?

Shikokutogeo1
これは・・・!?

Shikokutogeo2
シコクトゲオトンボ

 最初は半信半疑でしたが、住処からお出で願い、その全体を見た時に、ワンテンポ遅れて「いたー!!!」という絶叫が周囲の森にこだましました。

Shikokutogeo3

 体長は1センチほどで、この大きな頭とずんぐりした体型、腹部の先端に付いた円形に近い鰓は、紛う事無きシコクトゲオトンボのヤゴの特徴です。実物を見ると、結構かわいいですね。

Rindou
生息環境

 今回見つけた環境というのが、こちら。普通ならば、トンボのヤゴがいるとは到底思わない環境ですが、写真右側の湧き水が滴る岩で確認しました。
 シコクトゲオトンボの属するヤマイトトンボ科は、樹林に囲まれた河川源流部、もしくは今回のような湧き水の滴る林道沿いの苔むした岩場などに生息しているようで、一説では他の種との競争を避けて、ほとんどのトンボが利用しない上記の環境を選んだとされています。最初にも書いた通り、幼虫期間が推定で2〜3年との事ですから、競争はなくとも、食料が豊富な環境とは必ずしも言えなさそうです。しかしながら、やはり普通のトンボが生息しないような環境にあえて進出・適応したという点では、中々魅力的なトンボだと言えるでしょう。

 若干、まぐれだった面もありますが、特殊な暮らしぶりの一部を直に見る事ができただけでも、非常に大きな収穫となりました。これを活かして、県内の他の場所でも探索を続けたいと思います。

香川県 2017年2月13日

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今年の振り返り

 毎年恒例となりましたが、2016年内に観察・撮影したトンボの中から、個人的なお気に入りを並べて締めたいと思います。

Hosomiotunentombo
ホソミオツネントンボ♂
山梨県 2016年1月10日

Mukashitombo
ムカシトンボ♂:羽化
山梨県 2016年4月24日

Himekurosanae
ヒメクロサナエ♂:羽化
山梨県 2016年5月2日

Ooyamatombo
オオヤマトンボ♀:羽化
コヤマトンボ
東京都 2016年5月5日

Hosomiitotombo
ホソミイトトンボ:産卵
東京都 2016年5月5日

Yotuboshitombo
ヨツボシトンボ♀:羽化
山梨県 2016年5月15日

Asahinakawatombo
アサヒナカワトンボ:交尾
山梨県 2016年5月15日

Honsanae
ホンサナエ♂
神奈川県 2016年6月11日

Uchiwayanma
ウチワヤンマ♀:羽化
静岡県 2016年7月4日

Hagurotombo
ハグロトンボ♂
山梨県 2016年7月7日

Takanetombo
タカネトンボ♂
山梨県 2016年7月23日

Neakayoshiyanma
ネアカヨシヤンマ♂:休止
埼玉県 2016年8月4日

Yabuyanma
ヤブヤンマ♂:休止
東京都 2016年8月7日

Onagasanae
オナガサナエ♀:休止
長野県 2016年8月8日

Meganesanae
メガネサナエ♂
長野県 2016年8月9日

Katoriyanma
カトリヤンマ♀:羽化
東京都 2016年8月15日

Ookitombo
オオキトンボ♂
香川県 2016年10月4日

Naniwatombo
ナニワトンボ♂
香川県 2016年10月14日

Himeakane
ヒメアカネ♂
香川県 2016年11月28日

 写真については、今年も試行錯誤が続いた感じがありますが、振り返れば色々なトンボを観察することができました。特に、10月からは香川県に拠点を移したことで、オオキトンボとナニワトンボを初めて見ることができ、移動の多い年ではありましたが功を奏した面も大きかったです。

 今年一年、しがない本ブログをご覧頂いた皆様、そして観察・撮影にあたりまして、若輩に快く情報をお寄せ頂いた皆様、誠にありがとうございます。

 良いお年を。

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陽射しを恋う

Cyougenbo
チョウゲンボウ

 ここのところ、休日は天気にいまひとつ恵まれていなかったのですが、この日は朝から晴れてくれました。移動途中にチョウゲンボウにも遭遇したので、これは幸先がよいです。

Himeakane1
ヒメアカネ♂

 前から気になっていた場所についてみると、多様な水域環境が点在しており、時期になれば相当楽しめそうだということが確認できました。
 とは言え、今はオフシーズンなのでトンボの姿は皆無。もしかしたら、陽当たりの良い場所で日光浴しているかと思い付近の道を歩いてみると、道端に積もった枯葉の上に小さな赤トンボの姿がありました。マユタテアカネかと思いきや、良く見てみればヒメアカネです。

Himeakane2
ヒメアカネ♂

Himeakane3
ヒメアカネ♀

 確認できたのはオス・メス共にわずかで、全て落ち葉の上で日光浴していました。メスに至っては、産卵の際に付いたと思われる泥が腹部にそのままで、大仕事を成し遂げたという風格がありました。
 見ていて面白かったのが、止まる場所が地面(苔)よりも枯葉の上、更に言えば表を向いている枯葉よりも裏を向いている枯葉の上、と明らかに選んで止まっているようでした。枯葉の裏面が白っぽいので、太陽の光を反射して下から光と熱を受けやすいからなのかと思いますが、それをわかっているのかもしれませんね。

Himeakane4

 こちらが気になるのか、時折顔を真上に傾ける場面がありましたが、丁度太陽に雲がかかったのを見上げて、陽射しを恋うように見えてしまいました。

香川県 2016年11月28日

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うどん県らしいトンボ

 この日の観察も新規開拓のため、これまで一度も行っていない地域に足を運びました。良い環境の溜池を見つけたのですが、季節か時間的な問題かトンボの姿は見られませんでした。

 一つ気になるのは、香川県内には溜池と共に水田が無数にあるものの、水田ではお馴染みのナツアカネやアキアカネといったトンボの姿がほとんど見えず、これが季節的なものなのか環境的なものなのか、という点です。これも観察回数を増やせば理解できるかもしれません。

Kitateha
キタテハ

Misago
ミサゴ

 溜池の周辺を探索中に上空をサッと黒い影が通り過ぎ、見上げて確認してみると、ミサゴが旋回しつつ水面に鋭い視線を送っていました。オオクチバスかブルーギルがいるのか、2〜3回ほど急降下していましたが、狩りは失敗に終わったようで、しばらくしたら飛び去っていきました。

 生物のトンボでは成果が無かったのですが、移動途中にこんなお店を見つけてしまいました↓

Tomboudon

 その名も、『セルフうどん とんぼ』

 丁度お昼頃だったので、「これは入るしかない。いやむしろ入らざるを得ない。」という使命感のもと入店しました。注文したのは肉うどん1玉分(400円!?)で、注文からわずか10秒で出来上がるという超速対応。更には味も良かったので、安い・早い・美味いの三拍子揃ったお店でした。
 これはこれで、トンボ的には一つの成果かもしれません。

香川県 2016年11月16日

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幸せを届けに

 少し風が強めの天気の良い休日。オオキトンボのオスのホバリング・パトロールが撮り易いのではないかと思い、新たな観察地開拓と合わせて出掛けてきました。

Ooki1
オオキトンボ♂

Ooki2
オオキトンボ♂

 オオキトンボがいそうな環境が何となくわかって来たので、地図に加えて勘も頼りに新たな池に行って見ると、数は少ないながらも確認できました。オスのホバリングを交えたパトロールは午前中に多いそうですが、風のお蔭もあってか比較的長めのホバリングをしてくれたので、目当ての姿を見ることができました。

 涼しい秋風が吹き渡る空の下、時には赤トンボらしく地面で日光浴する場面も。

Susuki
ススキ

Kounotori1

 帰り際、別の溜池に立ち寄ってみたところ、ダイサギに混じって見慣れない鳥がいました。

Kounotori2
コウノトリ

 この立派なくちばしと特徴的な色彩。鳥に疎い私でも「これは!」と思い、慌てて望遠レンズに切り替えて撮影してみれば、案の定、コウノトリでした。
 瀬戸内海を挟んだ対岸の兵庫県に、有名な保護繁殖施設があるというのは知っていましたが、人工繁殖により巣立った個体が日本全国の広範囲に渡って飛来しているという事を、調べて今更ながら初めて知りました。特に兵庫県の周辺地域にはよく飛来するらしく、水田や溜池の多い香川県も例外ではないようです。
 トンボ観察のために溜池を巡る事が多いですが、今後も出会う事があるかもしれないので、こちらも楽しみに観察を続けて行きたいところです。

*ちなみにこの個体、よく見ると個体識別の足環が付いていたので、『兵庫県立コウノトリの郷公園』に問い合わせてみたところ、今年の6月頃から消息不明だった個体との事でした。

香川県 2016年11月7日

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杞憂

 11月の第1〜2週は香川県もかなり冷え込み、真冬かと思うような寒い週でした。寒さのため生きもの達の活動が鈍っていないか心配でしたが、休日の前夜、仕事帰りにヒメヤママユが見送ってくれたので、次の日も大丈夫だろうと前向きに考えて観察に出掛けました。

Himeyama
ヒメヤママユ

Kawaranadeshiko
カワラナデシコ

Kitombo
キトンボ♂

 秋の七草であるカワラナデシコを眺めつつ、以前の観察でナニワトンボを観察した水域に再び足を運んでみると、今回はキトンボがいました。改めてじっくり見ると、翅のオレンジ部分がかなり目立ちますし、体が赤くなるという点でも名前に「大」の付くオオキトンボとは違いますね。
 考えてみれば、一口に赤トンボと言っても、赤に限らず青や黄色、黒など様々な色の種類がいて、香川県に来たお蔭で一層好きになりました。

Mayutate
マユタテアカネ♂

 ナニワトンボの姿は今回ありませんでしたが、マユタテアカネやキトンボ、ベニトンボなど、まだまだ元気な種類が多いので、もうしばらくは楽しめそうです。

Tumaguroki
キタキチョウ:交尾

 汀に生えていたニセアカシアの幼木にふと目を留めると、キタキチョウのペアがいました。よく見れば、蛹(中央の茶色い物)にぶら下がっています。どうやら、蛹から羽化したばかりのメスにアタックしたか、羽化するのを待ち受けていたのかもしれません。
 寒さで鈍ったかもしれないという思いは、今のところ杞憂に終わりそうです。

香川県 2016年11月4日
(ヒメヤママユは11月2日)

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狙い撃ち

 オオキトンボの産卵を観察した帰り、通りかかった溜池を覗いてみました。

Isoshigi1

Isoshigi2
イソシギ

 溜池の畔を歩いてみると、ハクセキレイなどの鳥に混じって見慣れない鳥がいました。鳥に詳しい友人に写真を送って確認してもらったところ、イソシギとのこと。シギ・チドリの仲間は見分けが難しいとの事ですが、改めて見ると可愛い姿ですね。

Musuzi1

Musuzi2
ムスジイトトンボ♂

 イソシギが歩いていた溜池の汀の草むらに目を凝らすと、かなりの数のムスジイトトンボが群れていました。時間帯は15時台でしたが、やや涼しい風が吹き始めていたので、風を避けて集まっていたのかもしれません。
 不慣れな土地ではありますが、それでも毎回の観察で小さな発見が少しずつ狙い撃ちできれば、嬉しい限りです。

 ちなみに、シギは英語で『a snipe』。正に狙い撃ちでした。

香川県 2016年10月24日

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当て所も無い探索

 先日、アパートの部屋内でオオゲジの幼体とダンゴムシが歩き回っていましたが、特に問題無く過ごしています。ちなみに、ゴキブリキラーことアシダカグモとオオゲジが闊歩しているためか、入居した最初の一週間でゴキブリの幼体をとんと見なくなりました。

 そんな小規模な生態系が渦巻く自室についてはさておき、前回までのトンボ観察で目標としていたナニワトンボ、タイリクアカネ、オオキトンボの姿を納める事は叶ったので、今回からは新規開拓と共に、一歩踏み込んで交尾や産卵の観察をする事にしました。

Tameike

 まずは、おそらく上記3種の中でも比較的見つけ易いのではと思われる、オオキトンボの新たな産地を探す事にしました。地図とカーナビを頼りに目星を付け、現地に着いてみると、なんとものどかな光景が広がっていました。今にも山際から、カトリヤンマが飛んできそうな場所です。

Ooki3

Ooki4
オオキトンボ♂

 そして、写真中央にかすかに見える溜池の畔に立ってみると、案の定オオキトンボの姿がありました。個体数は少ないのですが、ある程度の水生植生があれば普通に分布しているような気がします。

Ooki1

Ooki2
オオキトンボ:産卵

 しばらく観察していると、遠目に上下運動をする黄色い影が目に止まり、近付いて見れば産卵中のオオキトンボでした。しかし、いざじっくり見ようと思っても打水しながら転々と移動するので、撮影の方は困難を極めました。
 個体数が多ければ、少しはゆっくりと飛ぶのかもしれませんが、真横からのアングルでじっくり観察・撮影しようと思ったら、やはりそれなりに良い環境を探す必要がありそうです。

香川県 2016年10月24日

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赤系

 ナニワトンボとの初の出会いを果たした後、少し離れた所にある海にやや近い水域へと向かいました。

Mayutate
マユタテアカネ:交尾

Tairiku
タイリクアカネ♂

 ここでは時間的な関係か、トンボはほとんど見られませんでしたが、マユタテアカネに加えてタイリクアカネがわずかにいました。このタイリクアカネの分布も不思議で、北海道と近畿地方より西の地域でしか見られず、関東地方周辺は空白地帯となっているため、地元ではお目にかかれないトンボでした。

Benishizimi
ベニシジミ

Mozu
モズ♂

Kaki
カキ

 やや傾きかけた陽の中で、鈴なりのカキやベニシジミの橙色が眩しく、見晴らしの良い鉄棒の上ではモズのオスが縄張り宣言をしていたりと、秋らしい風景に満ちていました。見返してみると、被写体の生きもの全部が秋を感じる赤系ですね。

香川県 2016年10月14日

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