カンタリジントラップ

 先日、別件で森の中の水域を訪れたのですが、その際にキトンボに遭遇しました。というわけで、今回はそのキトンボと再会を果たすべく改めてその水域へ。

Kitonbo1
キトンボ♂

 例によってヒグマ出没地なので、車から降りると、手を叩きながら水域へと向かう森の小径を下りました。現場に着いて、岸辺に転がる倒木に目を向けると、日光浴中のキトンボを早速発見。今年は一度も見ておらず気にはなっていたので、少し安心しました。

Kitonbo2
キトンボ♂

 個体数は少なかったのですが、中には近寄らせてくれる個体もいたので久々に広角撮影にも挑戦してみました。時間帯の都合上、接近し過ぎると自分の影が写りこんでしまうため、十分な距離を取れなかったのが少々残念ですが、、、。また、撮影のために腹這いになる際に、実は一瞬ためらってしまったのですが、それは何故かと言うと、

Menokotuchi
メノコツチハンミョウ♂・♀

 地面に目を向けると、そこかしこでメノコツチハンミョウが歩いていたのです。ツチハンミョウの仲間は、体液にカンタリジンという毒性分が含まれており、素肌に触れると火傷の様な炎症が出るそうです(未経験なのでどれほどなのかわかりませんが)。ウインドブレーカー越しだとしても、流石に体で押し潰すわけにはいきませんから、腹這いになる前にはよくよく地面を見渡してからの撮影となりました。

Kitonbo3

 記録では、年明けの1月下旬にキトンボが確認された例があるので、寒さ厳しい道東ではいつ頃まで見る事ができるのか、ツチハンミョウに気を付けつつ、今後も様子を見に訪れようと思います。

弟子屈町 2017年10月28日

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飛んで網に居る秋の蜻蛉

 徐々に涼しくなるこれからの時期は、アカネ達の日光浴姿が見られる時期です。

Risu
リスアカネ♂

Miyama
ミヤマアカネ♂・交尾帯

 日中は陽当たりの良い場所によく固まっていますが、白色系の物の方が特に好きなので、シラカンバやダケカンバの倒木の他、すっかり脱色して白くなった塩ビパイプといった人工物など、蓄熱もしくは輻射熱が多い物を選んでいるようでした。
 そこで、ふと思い立ったのが手に持っていた愛用の捕虫網。白い物に反応するならばという事で、試しに広げて置いて待ってみると、

Sympetrum1
アカネ見本市

 白に反応してか、あっという間にアカネ達が集まって来ました。左上から、アキアカネ♂、ミヤマアカネ♂、マユタテアカネ♂、コノシメトンボ♂と、アカネの見本市です。

Sympetrum2
この黒は・・・?

 網作戦が思いの外大人気で、気の強い個体に至ってはしばらく独占する始末でした。「それは私のなんだけどな、、、」と突っ込みを入れつつ、アカネ達を見ていると、何やら黒っぽいトンボが。

Mutu
ムツアカネ♂

 もしやと思い、よく確認してみれば『黒い赤トンボ』こと、ムツアカネの登場です。赤の要素が皆無ですが、『青い赤トンボ』ことナニワトンボもいるわけですから、黒い赤トンボがいてもおかしくないでしょう(?)。上から下まで真っ黒なお蔭で、北国の短い秋の陽でも熱を吸収しやすそうですね。

弟子屈町 2017年10月14日

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初心忘れず

 最低気温が早くも氷点下を切った道東にて、懲りずにラストスパートのアカネ達の様子を見に行ってきました。

Tairiku1
タイリクアカネ♂

 昼間の風も冷たさを増して来たので、流石のアカネ達も日光浴に勤しんでいます。先日には、産卵シーンを見せてくれたタイリクアカネも、この日は太陽の方が恋しいみたいです。

Aki1
アキアカネ:交尾

 とは言え、短い秋の間に子孫を残さなければなりません。目の前にフッと止まったカップルを、タイリクアカネか! と喜び勇んでよく見てみれば、なんと見慣れたアキアカネです。この場所では、アキアカネとタイリクアカネの両種が生息しているのですが、先日はタイリクアカネばかりだったので、これもそうかと決めつけたのが間違いでした。

Aki2

 水面に目を向けると、単独で産卵を行うメスの姿が。今度こそタイリクアカネか!? と思いつつ撮影しましたが、産卵後の姿をよく確認してみれば、、、

Aki3
アキアカネ♀:産卵後の小休止

 こちらもアキアカネでした。両種とも行動・生態が少し似てはいるのですが、一回の観察だけで決めつけるのは厳禁だなと痛感しました。初心忘れずとは正にこの事ですね。

Hosigarasu
ホシガラス

 アカネ達の観察中、ふと視線を感じて見回した先には、なんとホシガラスの姿が。流石、普段は人が全く来ない大自然の中の池(ヒグマ出没地)なだけはあります。

弟子屈町 2017年10月14日

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hankucotcapの手帳

 北海道内の地名は、元々その地域に付いていたアイヌ語の地名に漢字を当てたものが多いですが、道内に生息する生きものにもアイヌ語が付いている種がいます。今回の観察では、その単語が付いた種を幾つか見つけたので、勉強も兼ねてそのご紹介を。

Ezoakagaeru
エゾアカガエル

 森林や湿地帯で必ずお目にかかるエゾアカガエル。半月ほど前までは、夜に車を走らせると道路の左右からピョンピョン飛び出して来ていたので、踏まないように通るのが一苦労でした。
 本種の学名はRana pirikaなのですが、pirikaとはお米の『ゆめぴりか』でお馴染みの”美しい”というアイヌの言葉です。Ranaはカエルなので、学名を直訳すると”美しいカエル”という事でしょうか。

Menokotuti1
メノコツチハンミョウ♂(左)・♀(右):仲良く草を摂取

 同じく森林周辺で見かける事が多いメノコツチハンミョウ。この仲間はハナバチ類の巣への寄生や体液に毒成分を含んでいたりと、見た目以外にも生態の特殊性が際立っていますが、今回観察して自分の中で意外だったというか、知らなかったのは成虫の食べ物が草だという事でした。肉食性もしくは腐肉食性だと勝手に思い込んでいたので、不勉強から来る固定概念とは恐ろしいものです。

 本種は和名・学名(Meloe menoko)共に”メノコ”と付いていますが、これはアイヌ語で”女性”、”娘”、”女の子”という事なので、メノコツチハンミョウ♂と書くと矛盾した感じが満載です。

 ところで写真の2個体ですが、そのまま恋が産まれるかと思いきや、あっさりと解散して行きました。

Menokotuti2
♂の顔

 独特な形をした触角も然ることながら、メタリックブルーの体に秋空が反射して中々綺麗でした。

Ruriito
ルリイトトンボ♂

 そういえば、こちらに越してから北海道のトンボの代表種とも言えるルリイトトンボをしっかりと撮影していなかったので、今更ながらそのお姿を。北方系の種だけあって、朝晩冷え込むこの時期でも結構頑張って飛んでいます。

 今回アイヌ語について少し調べる中で、トンボは果たしてアイヌ語で何と呼ぶのか気になり、『アイヌと自然デジタル図鑑』を参考とさせて頂いたところ、ハンクチョッチャプ(hanku cotca p:
へそを 突く もの)だそうです。ただし、アイヌ語は地域によって微妙に発音が異なるらしく、一概にこの通りの発音という訳ではないようですが、『へそ』はともかく、『突く』という単語はトンボの産卵様式を表現しているように思われるので、実に的を得た呼び方だと思います。

 という訳で、トンボだけアイヌ語に変換すると、当ブログの名前は『hankucotcapの手帳』となりますね。

弟子屈町 2017年9月30日

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空白地帯を越えて

 9月最後の土曜日。前日の天気とは一転して秋晴れの日となったので、アカネ類の産卵も良い頃合いかと思い、様子を見て来ました。

Konosime
コノシメトンボ♂

 家を出た時はひんやりとしていた空気も次第に暑くなり、現場に着いた時には腕まくりをする程になっていました。そんな貴重な秋晴れの下、水辺ではタイリクアカネやコノシメトンボ、ミヤマアカネなどが入り乱れていました。

Tairiku1

Tairiku2
タイリクアカネ:産卵

 特に良い姿を見せてくれたのがタイリクアカネで、まるで示し合わせたかのように、複数のカップルが同時のタイミングで産卵を行っていました。産卵方法もそうですが、一見するとアキアカネと似ています。
 本種は北海道から九州にかけて断続的に分布しているのですが、東北のほとんどと関東・中部には分布していない不思議なアカネです。昨年は、香川県で本種を観察しましたが、まさかその一年後に、空白地帯を越えた先の北海道で観察する事になろうとは思いもしませんでした。

Mayutate
マユタテアカネ:産卵

 先日、大雪山では遂に初冠雪が観測されましたが、冬の気配が目前まで迫る中、ラストスパートとばかりに飛び回るアカネ達の姿を堪能した一時でした。

弟子屈町 2017年9月30日

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大らかさ

 東京の天気はほぼ一ヶ月連続で雨マークだったようですが、道東もこの一ヶ月天気が不安定で、一時は最高気温が22〜23℃と秋を思わせる様な涼しい日も続きました。しかし、今週になって夏が息を吹き返し、鳴りを潜めていた昆虫達も少し元気を取り戻したようです。

Kooni1

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コオニヤンマ♂

 陽射し降り注ぐ湖の様子を見に行って見ると、湖面を渡る風に吹かれながら、コオニヤンマがパトロールを行っていました。お気に入りと思われる場所に止まった個体に試しに近付いてみると、すんなりと距離20センチ以内まで詰める事に成功。あまり近寄らせてくれない印象が強かったのですが、北の大自然で育ったため大らかなのかどうかはさせておき、良い個体に巡り会えました。
 ちなみに、道内に生息するサナエトンボ科は、コオニヤンマを含めわずか4種(他はモイワサナエ、コサナエ、ホンサナエ)とされているので、本州以南では普通種ですが、こちらではある意味で貴重な存在です。

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ルリボシヤンマ♂

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ルリボシヤンマ♀:産卵

Ruriito
ルリイトトンボ♀(♂型):カメムシ目(?)の一種を捕食

 近くの湿地では、ルリボシヤンマのオスが忙しくパトロールを行っており、その目を盗んで、水際の物陰ではメスが産卵を行っていました。そんなルリボシヤンマ達の攻防を脇で見つつ、ちらちらと飛び交うルリイトトンボはのんびりとお食事タイム。

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カワセミ♂

 トンボ達の行動を眺めていた時、甲高い鳴き声と共に不意に一羽のカワセミが現れました。あまりにも近距離だったので、こちらの存在に気がついたらきっと驚いて逃げるだろうかと思いきや、すぐ近くの枝先に止まって水面の様子を伺い始めました。これは狩りの一部始終が見られるのではと期待して、観察対象をカワセミに変更です。

Kawasemi2
エゾサンショウウオの幼生(?)を捕食

 すると期待に応えるかの様に、水面にサッと飛び込んだ次の瞬間には枝先に舞い戻り、嘴にはエゾサンショウウオの幼生と思しき獲物を見事にくわえていました。この後も2回ほど見事な狩りを目の前で披露してくれてから、森の奥へと姿を消して行きました。
 それにしても、コオニヤンマやカワセミが見せた大らかさは、彼らの性格なのか北の大自然の力なのか、気になるところです。

弟子屈町 2017年8月25日

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熱中は禁物

 折角道東で暮らす事になったので、大学の卒業研究で調査を行った水域の様子を見に行って来ました。

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ルリボシヤンマ♂

 調査地の一つだった森林内の湿地帯に訪れると、以前と変わらずにルリボシヤンマやモリトンボが飛び交っていました。再び調査地に戻る事ができたのは幸運とも言えるので、卒業研究でやり残した事を補完するべく、個人的に今後も調査を継続して行こうかと思います。

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Onikuwagata2
オニクワガタ♂

 湿地のそばに落ちていた木片の上には、オニクワガタの姿も。本州では、山地や高山帯のブナ林等でしかお目にかかれないそうですが、北海道では平地で普通に見られるようです。小さいクワガタですが、短くもがっしりとした大顎がなかなか格好良いですね。

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吸水するミヤマカラスアゲハたち

 ルリボシヤンマやオニクワガタを小一時間眺めた後、近くの湖岸にも行ってみたところ、ミヤマカラスアゲハが点々と集まって吸水していました。

 この写真を撮影した直後、水際の砂地をふと見ると、直径20センチ以上はあるヒグマの真新しい足跡が・・・! 写真を撮るのも忘れ、手を叩いたりしてなるべく大きな音を出しながら、すぐに車へと撤退しました。侮るなかれ北海道!
 思い返せば、学生時は単独かつ自転車でこの調査地まで通っていたので、今考えれば命知らずもいいところです。・・・とか言いつつ、そこへ再び一人で来ている始末ですが。

 今回は、足跡で済みましたが、観察・撮影にせよ、採集にせよ、トンボに熱中し過ぎて周辺への警戒を怠ると、「あっ、やせいのヒグマが飛び出してきた!」(ポ◯モン風)などという事も十分あり得るので、それなりの緊張感を持ってフィールドに出ようと痛感しました。

弟子屈町 2017年8月8日

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北の彼方から

 北の大地からこんにちは。
 7月から道民となり、この一ヶ月はヒグマと戦う事もなく平和に過ごして、仕事や生活にも少しずつ慣れてきました。住んでいるのが道東の田舎町なのですが、生活面では今の所不自由もなく、自然も豊かなところです。
 東京者からすると、北海道には涼しい印象を持ってしまいますが、この時期だと晴れた日の気温は30℃以上まで上がるので、意外と暑いものです。ただ、東京と違って湿度が低く、朝晩は窓を開けて寝られないほど涼しくなるのが幸いですが。そして、豊かな自然を象徴するかの様に、昼夜問わず飛び交う昆虫の多さには目を見張ります(特に蛾とハエ・アブ類)。

 新しい仕事と生活にも慣れて来たので、昆虫の多さに期待しつつ、移住後初のトンボ観察に行って来ました。

Kitaito
キタイトトンボ♂

 東京を発つ前に、「北海道のトンボを紹介できれば、、、」と豪語してしまったので、有言実行という事でまずはこのキタイトトンボから。
 発見した場所では、ルリイトトンボと混じって飛んでいたので一瞬わかりませんでしたが、よく見れば青色の濃さが全然違います。道内にはキタイトトンボの他にも、エゾイトトンボやオゼイトトンボ、ルリイトトンボと青系のイトトンボが多いので、パッと見で見分けられる境地に早く達したいものです。

Ruriito
ルリイトトンボ:潜水産卵(中央)と飛翔する♂

 道内ではお馴染みのルリイトトンボも。かつての卒業研究の折に、毎日の様に顔を合わせていましたが、久々に目にするとその青空の様な色につい見とれてしまいます。

Kohiodosi
コヒオドシ

Tanchyou
麦畑の中のタンチョウ

 海抜は120メートルの地域なのですが、本州では高山帯に分布するコヒオドシやクジャクチョウが飛んでいたり、畑の中にタンチョウがぽつんといる姿を見ると、やはりここは北海道だと実感します。
 という訳で、これからの長い道東での生活も、これまでと同様にトンボを追いかけながら送って行こうと思います。

弟子屈町 2017年7月29日

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ウスバキトンボの気分

Siokara
シオカラトンボ♂(未熟):ヒメウラナミジャノメを捕食

Onaga
オナガサナエ♂(未熟):休止

 この2ヶ月間、音信不通となっていましたが、いよいよ北の大地へと旅立つ事となりました。
 おそらくは、残りの生涯のほとんどを北海道で過ごす事になるかと思いますので、ウスバキトンボよろしく、新天地に骨を埋める覚悟で生きていこうと思います。次に更新する時は、北海道のトンボを紹介できれば良いのですが、一先ずは、ヒグマに食べられないように精々気をつけることにします。

神奈川県
 2017年5月8日:シオカラトンボ
 2017年6月26日:オナガサナエ

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煌めき

 ゴールデンウィークの後半は、川のトンボの様子を見て来ました。

Davido
ダビドサナエ

 今回訪れた川では、水面から突き出た岩や岸辺の草にダビドサナエの抜け殻が多く見られ、羽化の時期は既に終盤という雰囲気でした。そんな中、今しがた水中から上がって来たばかりと思われる幼虫の姿を発見。そばに腰を据えて、羽化を見届ける事にしました。

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Davido3
ダビドサナエ♀:羽化

 足場が中々気に入らなかったのか、脚を取っ替え引っ替えしつつ優に一時間をかけてから、ようやく羽化を始めました。実は、中々羽化が始まらなかったので、周辺の様子を見に1分ほど場を外したのですが、それを待っていたのか否か、戻って来た時には既に頭が出ていたというオチです・・・。
 羽化を始めたらあっという間で、途中で川面の風に流されながらも、さっきまで自分が入っていた殻にしがみつき、翅の展開が終わると直ぐさま飛び立って行きました。

Davido4
ダビドサナエ♀:羽化(別の個体)

Davido5

 最初の個体を見届けてから川を離れようとしたところ、少し離れた場所でも別の個体が殻から出ようとしてました。翅の展開後、こちらはしばらく留まってくれたので、せせらぎの音を聞きながら、初々しい翅の煌めきにしばし心を奪われました。

東京都 2017年5月6日

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