普通種の有り難さ

 ようやく天気が落ち着いて来たので、休日となれば、以前からマークしていた水域へと向かう日々です。

Shiokara
シオカラトンボ♂

 今回は、山中にある沼地の様子を見て来ました。ここは流入・流出河川が見た限りでは無く、水も濁り気味。おまけに岸辺はエゾシカの足跡だらけなのですが、そんな水域でも元気に飛んでいるのがシオカラトンボです。おそらく、今年初めてしっかりと姿を見ましたが、全国的に見られる種だからこそ、その姿を見ると何だかとても落ち着きます。

Kuroito
クロイトトンボ♂

 同じくこちらも全国的に見られるクロイトトンボですが、私の住んでいる地域では、意外にも分布する水域が限られています。シオカラトンボと同様、何度も見て来たはずなのに、改めて見ると中々綺麗なものです。

Ooruriboshi
オオルリボシヤンマ:羽化のため上陸

 水際には、先日羽化を部分的に観察したオオルリボシヤンマの幼虫が上陸していました。この日は別に天気が悪い訳ではなかったですが、今頃から上陸とは社長出勤ですね。羽化を見届けようかと思ったのですが、目を離した数十秒の隙に姿を消してしまいました。

Kosanae
コサナエ♂

 この水辺での一番の目的は、実はこのコサナエ。学生時代に、一度ここで見たきりだったので数年間気になっていたのですが、数は若干少ないものの、しっかりと命を繋いでいたようで安心しました。何しろ、道内に分布するサナエトンボ科は本種含めわずか4種ですから、貴重な存在です。

弟子屈町 2018年7月15日

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久々の出会い

 オオルリボシヤンマの羽化現場を離れ、もう一つ気になっていた場所へ向かいました。

Swamp

 長雨の影響で水に満たされた林床湿地ですが、トンボ屋やゲンゴロウ屋などの水生昆虫屋さんにとっては飛び込まずにはいられない環境が、道東には至るところにあります。前にここを通りかかった時は、ヨツボシトンボ祭り状態でしたが、この日は至って静かで、ヨツボシトンボの影すらありませんでした。
 しかし、ふと木陰を見れば、立ち並ぶ木の一角にエゾトンボくらいの大きさの影がホバリングしています。

Sarasa1

Sarasa2
サラサヤンマ♂

 近付いて見てびっくり! サラサヤンマです。

Sarasa3
♂:休憩

 まさかここにいるとは思いませんでしたが、よく見渡せば、あちらこちらの木のそばでオス達がそれぞれの縄張りをパトロールしつつ、闘争を繰り広げています。その数、約7〜8個体。中には飛ぶのに疲れたのか、目の前で堂々と休憩する個体までいました。

Sarasa4

 本州だと、休耕田などのいつ干上がってもおかしくないような環境にいるイメージでしたが、この湿地の水位もおそらく雨水による日和見なので、生息環境としては申し分無いのでしょう。
 それにしても、久々に見たという事もあってか、本州で見たサラサヤンマよりも小型で色もやや黒っぽい印象を受けました。

弟子屈町 2018年7月8日

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晴れ待ち

 朝方、ふっと目が覚めたので外の音に耳をすませれば、屋根や樹々を打つ雨の音。「今日も雨か、、、」と、二度寝したその2時間後に目覚めれば、雨の止んだ雲の切れ間から青空が覗いています。
 これは逃すまいと、急いで準備して前から気になっていた沼に足を運びました。

Shiroobihimehikage
シロオビヒメヒカゲ

 沼へと向かう草深い道すがら、目の前をチラチラと飛び回るジャノメチョウをよく見ると、どうも見慣れない模様の種類です。案の定、北海道にしか分布していないシロオビヒメヒカゲでした。
 目的違いとは言え、これは幸先が良いです。

Kitaito
キタイトトンボ :カの一種を捕食

 水辺に到着すると、そこはキタイトトンボ&ルリイトトンボとヨツボシトンボのお祭り騒ぎでした。イトトンボ類が沢山いるという事なので、他にも止水性のトンボが何かしらいるのが期待できそうです。
 という訳で、岸辺を見ながら進むと、オオルリボシヤンマの抜け殻が。

Ooruribosi1
オオルリボシヤンマ♂:定位

 と思いきや、次の瞬間にはぴくりと動いたので、なんと羽化に向けて定位中でした。朝方の天気が悪かったとは言え、この時点での時間は正午過ぎ! 晴れ間を待っていたのだとしても、これからの羽化とは予想外でしたが、運が良いので観察を開始しました。

Ooruriboshi15

Ooruribosi2

Ooruribosi3
オオルリボシヤンマ♂:羽化

 定位の確認から約20分後には羽化を開始して、あれよあれよと言う間に全体が出て、翅の伸長まで至りました。大型種なので、もう少しゆっくりなのかと思っていたのですが、ここまでは意外に早いものです。飛び立つまで見届けようかと思ったのですが、雨上がりのしかも北海道なので7月と言えども水が冷たい!

Ooruribosi4

 羽化の環境は一見ごちゃっとしていますが、実は池の中。例によって、岸辺にできた腐食植物を土台にした半浮き島です。丁度腰の辺りまで水に浸かっている姿勢での観察だったので、結構冷えました、、、。

弟子屈町 2018年7月8日

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幻想

 6月の末頃から雨が続き、湿度が格段に上がりました。通称『蝦夷梅雨』と言うらしいですが、故郷東京でこれまで体験していた梅雨に比べれば、まだマシかもしれません。とりあえず、かつて勝手に抱いていた『北海道に梅雨は無い』というのは幻想でした。

Miyamamatatabi
ミヤママタタビ

Hakusansyakunage
ハクサンシャクナゲ

 そんな勝手な幻想はさておき、春の花に満ちあふれていた時期とは違って、今の野山は少しひっそりとしています。雨上がりの薄暗い森の中、ミヤママタタビの白光りする葉やハクサンシャクナゲが、幻想的に輝いていました。

Tairiku
タイリクアカネ♀

Aoitoto
アオイトトンボ♀

 雨に濡れた湿地で、胴長をびしょびしょにしながら見てまわったところ、未熟なタイリクアカネとアオイトトンボが静かに止まっていました。特にタイリクアカネは昨年秋に何度も見ていたのですが、未熟な個体は雰囲気が全然違うので、「何だこのトンボ!?」と、思わず声が出てしまったほどです。

 続々とトンボが現れる中、そろそろ晴れ間が欲しいこの頃です。

弟子屈町 2018年7月7日

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甲羅干し

Kitaito1
キタイトトンボ♂

 午後から雷雨の予報となったこの日、天気が崩れない内に、昨年キタイトトンボを確認した水辺を見てきました。
 水辺にはルリイトトンボやヨツボシトンボが既に飛び交っており、岸辺の草むらを覗き込むと、やや未熟なキタイトトンボがひっそりと止まっていました。前回の記事でさらっと書いてしまいましたが、道東に越してからほぼ一年が経ち、越してから最初の記録でキタイトトンボを紹介したので、あれからもう一年経ったのかと観察しながら染み染み感じました。

Kitaito2
キタイトトンボ♀

 こちらはキタイトトンボのメスで、同じくやや未熟な個体です。昨年はメスを確認できなかった(見過ごしていた?)のですが、腹部の上側に金属光沢があって、小さいながらもハッとする美しさです。

Ooshimagengorou
オオシマゲンゴロウ♀?

 水面に目を向けると、浮き草の上で中型のゲンゴロウが甲羅干し(?)をしていました。模様からして、オオシマゲンゴロウの様な感じがしますが、どうでしょう・・・。
 研究室の同期がかつて、「ゲンゴロウ類は甲羅干しをする」と教えてくれたのですが、丁度この時は陽の光がさんさんと降り注いでおり、これがそれなのかなぁと少々考えてしまいました。

Amagaeru
ニホンアマガエル

 別の場所にも行こうかと思った矢先、遠く山の向こうから雷の音が聞こえて来たので、素直に撤退しました。

弟子屈町 2018年6月24日

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開幕

 週末の寒さから一転して暑いほどの気温になったので、水辺の様子を見て来ました。

Kusasotetu
クサソテツ(コゴミ)

Ezonotatitubo
エゾノタチツボスミレ

 植物の動きが著しいので、気がつけばそこら中でクサソテツが葉を広げ始め、間からは負けじとエゾノタチツボスミレが咲いていました。

 そして、水辺には遂に待ちに待った姿が!

Otunen1
オツネントンボ♀

Otunen2
オツネントンボ♂

 以前からトンボ的に怪しいと思っていた場所を覗き込むと、オツネントンボがちらちらと飛んでいました。氷点下20℃の冬場、一体どこでどうやって越冬していたのかと思いますが、出て来てくれた事に感謝です。
 複眼をじっくり見ると、成熟個体特有の青みがかった色が薄らと見えました。

Otunen3
オツネントンボ♀:産卵

 嬉しい事に産卵も行っていました。単独で産卵を行っていたメスが、逃げる素振りを全く見せなかったので、終わるまでじっくりと見させてもらいました。トンボの姿に飢えていた身にとっては、とても嬉しい一時です。

Yotubosi
ヨツボシトンボ♂

Swamp

 生息地はこんな感じです。一見すると浅そうに見えますが、水深は深いところで60センチほど。例によって、底は腐食植物が堆積した底なし沼状態なので、実際の水深はプラス20〜30センチ増しというところです。手前のヨシ原らしき部分も実は浮き島で、知らずに乗った時に踏み抜いて、危うく顔からダイブするところでした。ヨツボシトンボも数個体飛んでいたので、今後も期待できそうです。

 とにもかくにも、ようやく道東のトンボシーズンが開幕です。

弟子屈町 2018年5月22日

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今年の振り返り:2017

 大晦日となりましたので、年越し蕎麦(どん兵衛)をすすりつつ、毎年恒例の年内に観察したトンボを思い出しながら、2017年を振り返りたいと思います。

 どんぎつねさんは残念ながら現れませんでしたが、帰宅途中にキタキツネさんが目の前を通り過ぎて行きました。

Sikokutogeotonbo
シコクトゲオトンボ
(香川県 2017年2月13日)

Yamasanae
ヤマサナエ♀:羽化
(東京都 2017年4月23日)

Otunentonbo
オツネントンボ:産卵
(東京都 2017年4月23日)

Mukasitonbo
ムカシトンボ♀:産卵
(神奈川県 2017年4月30日)

Kosanae
コサナエ♂(右)・♀(左):羽化
(東京都 2017年5月5日)

Sioyatonbo
シオヤトンボ♀:産卵の合間の飛翔
(神奈川県 2017年5月5日)

Kitaitotonbo
キタイトトンボ♂
(北海道 2017年7月29日)

Ruriitotonbo
ルリイトトンボ♂(右・左)・潜水産卵(中央)
(北海道 2017年7月29日)

Ruribosiyanma
ルリボシヤンマ♂:パトロール飛翔
(北海道 2017年8月8日)

Kooniyanma
コオニヤンマ♂
(北海道 2017年8月25日)

Tairikuakane
タイリクアカネ:産卵
(北海道 2017年9月30日)

Kitonbo
キトンボ♂
(北海道 2017年10月28日)

 今年は、香川→東京→北海道と、列島を北上するように拠点が変わり、昨年と同じく移動の多い年ではありましたが、最後に辿り着いた北海道で遂に落ち着く事となりました。
 来年も変わらずに続けて行ければと思うと同時に、自然環境の情報蓄積が未だに少ないとされている道東にて、トンボのみならず様々な生きものや自然についての情報を集め、発信する一翼を今後担えて行ければ幸いです。

 今年一年、『蜻蛉の手帳』をご覧頂いた皆様、どうもありがとうございました。

 良いお年を。

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−20℃の越冬

 北海道では、冬季の除雪に使うため、職場や家庭で重機(タイヤショベルなど)や除雪機を自前で持っていたり、レンタルする事が多いです。私の職場でも、広い場所に関してはレンタルしたタイヤショベル等を使って除雪を行っているのですが、先日、職場の先輩が除雪を行うために車両に乗り込もうとしたところ、「車内にトンボがいる!」と連絡が来ました。

Otunen
オツネントンボ♀

 絶対に"あれ"だ、、、と思い、現場検証に駆けつけてみると、予想通りオツネントンボでした。成虫で越冬するトンボと言えば、国内には他にもホソミオツネントンボとホソミイトトンボがいますが、道内で確実に分布しているのはオツネントンボのみです。
 民家のガレージ内などでも越冬する事があるそうですが、今回の個体はタイヤショベルを選んだ様で、暖気していたところ越冬から覚めてしまったみたいです。仕方が無いので、この後職場の物置の陰に移して再び越冬して貰う事にしました。

 自然界では、おそらく雪の下の落ち葉の間などで越冬しているかと思うのですが、氷点下20℃の世界で凍らずに越冬できるのは驚きです。極寒との戦いを覚悟の上で、自然状態の越冬も観察してみたいものです。

 それはともかく、道東は土日にかけての夜中は氷点下20℃以下まで冷え込み、朝に台所の水道を使おうとしたら、、、なんと水が出ない!?!?
 始終ストーブを焚いている居間と台所が直結しているので、まさか大丈夫だろうと思っていたのが甘かったです、、、。運悪く日曜日だったので、水道屋さんがほとんど休みではありましたが、駄目元で電話したところ、快く対応してくれる有り難いお店があり、元通り使えるようになりました。
 水が使えない事の不便さを身に滲みて感じましたが、越冬中のオツネントンボの観察以前に、私がちゃんと越冬できるのかが問題ですね。

弟子屈町 2017年12月6日

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カンタリジントラップ

 先日、別件で森の中の水域を訪れたのですが、その際にキトンボに遭遇しました。というわけで、今回はそのキトンボと再会を果たすべく改めてその水域へ。

Kitonbo1
キトンボ♂

 例によってヒグマ出没地なので、車から降りると、手を叩きながら水域へと向かう森の小径を下りました。現場に着いて、岸辺に転がる倒木に目を向けると、日光浴中のキトンボを早速発見。今年は一度も見ておらず気にはなっていたので、少し安心しました。

Kitonbo2
キトンボ♂

 個体数は少なかったのですが、中には近寄らせてくれる個体もいたので久々に広角撮影にも挑戦してみました。時間帯の都合上、接近し過ぎると自分の影が写りこんでしまうため、十分な距離を取れなかったのが少々残念ですが、、、。また、撮影のために腹這いになる際に、実は一瞬ためらってしまったのですが、それは何故かと言うと、

Menokotuchi
メノコツチハンミョウ♂・♀

 地面に目を向けると、そこかしこでメノコツチハンミョウが歩いていたのです。ツチハンミョウの仲間は、体液にカンタリジンという毒性分が含まれており、素肌に触れると火傷の様な炎症が出るそうです(未経験なのでどれほどなのかわかりませんが)。ウインドブレーカー越しだとしても、流石に体で押し潰すわけにはいきませんから、腹這いになる前にはよくよく地面を見渡してからの撮影となりました。

Kitonbo3

 記録では、年明けの1月下旬にキトンボが確認された例があるので、寒さ厳しい道東ではいつ頃まで見る事ができるのか、ツチハンミョウに気を付けつつ、今後も様子を見に訪れようと思います。

弟子屈町 2017年10月28日

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飛んで網に居る秋の蜻蛉

 徐々に涼しくなるこれからの時期は、アカネ達の日光浴姿が見られる時期です。

Risu
リスアカネ♂

Miyama
ミヤマアカネ♂・交尾帯

 日中は陽当たりの良い場所によく固まっていますが、白色系の物の方が特に好きなので、シラカンバやダケカンバの倒木の他、すっかり脱色して白くなった塩ビパイプといった人工物など、蓄熱もしくは輻射熱が多い物を選んでいるようでした。
 そこで、ふと思い立ったのが手に持っていた愛用の捕虫網。白い物に反応するならばという事で、試しに広げて置いて待ってみると、

Sympetrum1
アカネ見本市

 白に反応してか、あっという間にアカネ達が集まって来ました。左上から、アキアカネ♂、ミヤマアカネ♂、マユタテアカネ♂、コノシメトンボ♂と、アカネの見本市です。

Sympetrum2
この黒は・・・?

 網作戦が思いの外大人気で、気の強い個体に至ってはしばらく独占する始末でした。「それは私のなんだけどな、、、」と突っ込みを入れつつ、アカネ達を見ていると、何やら黒っぽいトンボが。

Mutu
ムツアカネ♂

 もしやと思い、よく確認してみれば『黒い赤トンボ』こと、ムツアカネの登場です。赤の要素が皆無ですが、『青い赤トンボ』ことナニワトンボもいるわけですから、黒い赤トンボがいてもおかしくないでしょう(?)。上から下まで真っ黒なお蔭で、北国の短い秋の陽でも熱を吸収しやすそうですね。

弟子屈町 2017年10月14日

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