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彫刻家

 台風が来る直前の休日。嵐の気配が漂う空気の中、駄目もとでトンボ観察にでかけましたが、流石に成果は無しでした。しかし、ふと耳をすませると、水辺のそばにある森の中から何やら音が聞こえます。

Primevalforest
道東の深い森

 森と一言でまとめてしまいましたが、そこは人がほとんど立ち入った事が無いのではと思われる原生林同然の環境(*調べたところ二次林でした)、アカエゾマツやトドマツ、エゾマツといった道東を代表する針葉樹が優占する美しい森です。外から森を見ると薄暗い感じがするのですが、中に入ってみれば意外と明るく、針葉樹の枯葉と蘚苔類に覆われたふかふかの地面には、獣道らしき物も続いています。
 今にも、樹の影からヒグマかエゾシカが現れそうな雰囲気の中、森の入り口に静かに立って、気配を殺しながら「カツカツ」と樹を叩く音がする方に注意深く目を凝らすと、

Kumagera
クマゲラ♀

 そこには熊、、、ではなくては、クマゲラの姿が! これまで剥製は何度か見ていましたが、実物を見るとその大きさには改めて驚かされました。最初はカラスかと思ったほどです。それはともかく、まさかクマゲラをすぐ目の前で見る事ができるとは、これは実に感動しました!

 熊の名が付くだけあって樹を突く音もなかなかに大きく、コゲラやアカゲラなどの小型〜中型のキツツキ類の「コツコツ」「コトコト」といった密やかな物ではなく、「カツカツ」「ガツガツ」という豪快な音でした。その音と共に得る食べ物は、主に樹木内に隠れているカミキリムシの幼虫やアリとの事。これだけ大きな鳥を養うには、相当量の昆虫が必要でしょうから、美しさだけでは無い森の力を垣間見た様な気がしました。

 空気が冷えるこれからの季節、彫刻家の様なキツツキ達の色々な音が、森の中から聞こえて来そうです。

弟子屈町 2017年10月21日

*道東地域は、明治以降から特に第二次大戦後の復興時期にかけて、林業や酪農目的で全国各地から大勢が入植したので、いわゆる原生林に近い状態で残っている場所は非常に少ないそうです。

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