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パイオニア

 四国のトンボを語る上で忘れてはならない種に、シコクトゲオトンボがいます。世界で唯一、日本のしかも四国だけに生息しているトンボですが、分布だけでなく、生息環境も特殊なトンボです。成虫が現れるのは5月頃からなのですが、幼虫期間は2〜3年と推定されるため、冬場でもヤゴの姿を見る事ができます。

 実は昨年の12月頃から、シコクトゲオトンボのヤゴの姿を拝むべく、資料を漁りつつ何度か探索に乗り出したのですが、運が悪いのか、センスが無いのか、なかなか見つけられず、この時期まで引きずって来てしまいました。それこそ、トンボ屋の大先輩方に聞けば楽なのでしょうが、やはりそれは取って置きの手段。まずは自分の足で現場に行って、雰囲気だけでも感じる事が重要です。

Turara

 この日も、資料と類似した環境を探して県内をさすらい、氷柱の伸びる岩の下、湧き水の滴る落ち葉や苔をひたすら捲っていたのですが、未だ成果無しでした。我武者らに探しながら、脳裏には数日前に尾園さんの湘南むし日記にて、お隣の徳島県内で撮影したシコクトゲオトンボの記事が過ります。

 自分には高嶺の花だったか・・・と思いつつ、岩に張り付いた何枚目かもわからない落ち葉を捲ってみると、そこに天然の小さな窪が現れました。そしてその瞬間、窪の中に潜んでいた小さな生きものに、目が釘付けになりました・・・!?

Shikokutogeo1
これは・・・!?

Shikokutogeo2
シコクトゲオトンボ

 最初は半信半疑でしたが、住処からお出で願い、その全体を見た時に、ワンテンポ遅れて「いたー!!!」という絶叫が周囲の森にこだましました。

Shikokutogeo3

 体長は1センチほどで、この大きな頭とずんぐりした体型、腹部の先端に付いた円形に近い鰓は、紛う事無きシコクトゲオトンボのヤゴの特徴です。実物を見ると、結構かわいいですね。

Rindou
生息環境

 今回見つけた環境というのが、こちら。普通ならば、トンボのヤゴがいるとは到底思わない環境ですが、写真右側の湧き水が滴る岩で確認しました。
 シコクトゲオトンボの属するヤマイトトンボ科は、樹林に囲まれた河川源流部、もしくは今回のような湧き水の滴る林道沿いの苔むした岩場などに生息しているようで、一説では他の種との競争を避けて、ほとんどのトンボが利用しない上記の環境を選んだとされています。最初にも書いた通り、幼虫期間が推定で2〜3年との事ですから、競争はなくとも、食料が豊富な環境とは必ずしも言えなさそうです。しかしながら、やはり普通のトンボが生息しないような環境にあえて進出・適応したという点では、中々魅力的なトンボだと言えるでしょう。

 若干、まぐれだった面もありますが、特殊な暮らしぶりの一部を直に見る事ができただけでも、非常に大きな収穫となりました。これを活かして、県内の他の場所でも探索を続けたいと思います。

香川県 2017年2月13日

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コメント

絶叫…わかります。w
これがあるからやめられない。

投稿: 辺蟲憐 | 2017年2月15日 (水) 18時42分

お~流石!素晴らしい。
環境写真を見たところ、日影、小下沢の林道かと思わせるような道端の斜面という場所がまた最高にいいね。
ムカシヤンマの生息環境とカブる感じがするけどどうでしょうか?

投稿: kojeee | 2017年2月15日 (水) 20時42分

辺蟲憐さま

おっしゃる通り、成果が出ないと寂しいですが、
成果出ると何とも言えない喜びがあるのが
生きものとの付き合いで何より面白いところですね。

投稿: けい | 2017年2月16日 (木) 17時59分

kojeeeさま

実際のところは、日影や小下沢の方が日当たりや植生、水量面で数段良いと思います。
ムカシヤンマは未観察なのでわかりませんが、シコクトゲオトンボは比較的山地での分布傾向が強いそうなので、平地や丘陵地寄りのムカシヤンマよりは、地形・標高面でムカシトンボと近しい印象を受けました。

投稿: けい | 2017年2月16日 (木) 18時06分

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